【テーマ】頚椎の機能解剖と理学療法への応用
【日 時】平成28年2月20-21日
【講 師】上田 泰久 先生(文京学院大学 保健医療学部 理学療法士)
【参加者】45名
【報 告】
第14回のセミナーでは文京学院大学の上田先生にお越しいただき,「頚椎の機能解剖と理学療法」について講義いただきました。「頚椎」をテーマに解剖学・運動学の視点から深く掘り下げていただき,講義・実技を行っていただきました。
受講生の質問に丁寧に答えながら,分かりやすく実践に落とし込まれている姿はとても印象的でした。臨床家,教育家,研究家・・・「頚椎」をテーマに様々な面から多くの示唆をいただく時間となりました。
苦手意識を持ちがちな部位ですが,解剖学・運動学をもとに多角的な視点から学ぶ機会となったため,受講生も大変満足されていたようです。翌日からの臨床にすぐに活かしていくことができる内容となりました。
また,受動的に学ぶだけでなく,自身で解決していくための学びのスタイルについても間接的に示唆いただいた気がしています。上田先生,遠方よりありがとうございました。
【テーマ】高齢者に対する運動処方~ 高齢者の“機能レベル”を考慮した効果的な運動処方 ~
【日 時】平成28年1月31日
【講 師】山田 実 先生(筑波大学大学院)
【参加者】55名
【報 告】
第14回のセミナーでは筑波大学大学院の山田先生をお招きして高齢者に対する運動処方について講義いただきました。合計5時間の座学でしたが,アッという間に過ぎてしまい,終始参加者の興味を惹きつけるプレゼンと内容の素晴らしさに圧倒されました。
我が国の高齢化率は25%を超え,未曾有の超高齢社会を突き進んでいると言われています。そして,この高齢者人口の増加は,種々の健康障害や要介護認定者の増加,さらに医療費・介護給付費の高騰などを引き起こしており,この傾向は今後さらに強まることが予想されています。
「介護給付を受けている方々の1年間の給付費を一人平均にした場合,どれぐらいの保険が使われいるかご存知ですか?」
冒頭のこの言葉から,今後迎える高齢化社会を他人事として捉えられない現状があることを突きつけられました。その上で私たちにできることはなにか?
それを圧倒的な量でデータとして示しているのが山田先生です。その研究の一端を今回はご紹介いただきました。
高齢者といっても、その機能レベルは非常に幅が広く万人に効果のあるような運動というものはありません。つまり、わたしたちは高齢者の機能レベルに応じた運動処方を行う必要があり、そのことによって種々の老年症候群を予防・改善できる可能性が高まるということを伝えていただきました。
具体的には、フレイル(虚弱)、サルコペニア(筋肉量や筋力の減少)、転倒などをキーワードに、高齢者の機能レベルを考慮した運動処方について講義いただきました。
日々の現場にも活きる研究の手法やその内容は,情報としてキャッチしていかなければいけないということを個人的には感じる時間となりました。知らないでは済まされない未来がそこまできていることを考えると,日々の積み重ねの重要性を改めて感じます。山田先生,ありがとうございました。
【テーマ】運動器の診かた〜体感する徒手療法編 Part1〜
【日 時】平成27年12月19-20日
【講 師】礒脇 雄一先生(溝口整形外科 理学療法士)
【参加者】36名
【報 告】
今回のセミナーでは鹿児島県の溝口整形外科より礒脇雄一先生をお招きして「運動器の診かた」について講義いただきました.3回シリーズの第1回目は受講生に”体感”いただくことをメインに,徒手療法の原理・原則について伝えていただきました.知識としての情報だけでなく,どのような刺激を?どの程度?どういう方向に?といったライブでしか体感できないものを受講生には体験していただきました.
また,方法(治療)に特化した内容だけでなく,今回のPart1の中では医療の中での理学療法士の役割,医師との関係のあり方,患者さんとの向き合い方など,根本の部分で必要な要素についても礒脇先生の体験談をもとに伝えていただきました.臨床の現場で20年間実践しているセラピストの言葉にはとても重みを感じました.
2日目は腰痛,膝痛,肩痛など,実際に症状がある方を患者役として,3人一組で評価・治療の実践を行っていきました.問診,姿勢観察,動作観察,修正後の症状の変化…など,それぞれのグループで患者役 に対して行った評価・治療に,講師の礒脇先生であればどのような視点で評価・治療を行っていくのか?ということをデモで提示いただきました.臨床で多くの 経験を培い,多角的な視点と介入の手段を持っている礒脇先生だからこそできる内容だと思います.
「患者が求めていることにシンプルに応える」
セラピストとして当たり前のことを当たり前に実践する.礒脇先生が積み重ねてきた努力や想いが根本にあるからこそ,患者の求めることに応えられるだけの力を養えるのだと感じました.自身の「解釈」で評価・治療を推し進めるのではなく,客観的に自分を見続けることが結果として対患者との関係においても「事実」を「事実」として認識できる力が養えるのだというメッセージもいただきました.
診療中にメモを取る,カルテにはその日の所見を必ず記載する…など,面倒な作業でも続けて実践することで,それが自分の力となること,患者の日々の変化から事実をあぶり出すことが出来るようになるということを実践例を交えてお話いただきました.
セラピストとして患者が求めていることに応えられるようになるためには,「近道」がないこと,「終わり」がないことを改めて知り,そんな「想い」の部分でも力をいただいた2日間になりました.
全国を飛び回って講演活動(社会活動)をされている礒脇先生ですが,セミナーの内容もさることながら,個人的には明日からの臨床で「やってやろう!!」という気持ちをもらえることに礒脇先生の人気の秘密があるのだと感じました.礒脇先生が積み重ねてきた20年の経験を一回のセミナーを受講してすぐに体現できるようになるわけではないのですが,「想い」の部分ではすぐにでも実践(模倣)できることがあることを受講生の皆さんも感じたようです.
来年5月21-22日にはPart2を,9月10-11日にはPart3を開催予定です.より局所に絞った内容でお伝えいただく予定ですので,Part1 に参加できなかった方もぜひご参加ください.臨床のヒントとともに礒脇先生が臨床と向き合うパワーも与えてくれますよ!
(文責:田中 創)
12月5日(土)、第二回となりました教育フォーラムでは、『野球』をテーマに医療、プロスポーツの面から教育、指導について講演していただきました。
第一部『肩・肘の投球障害~発見・診断・治療~』
北九州市立医療センター整形外科医 主任部長 西井 章裕氏
西井先生には野球選手に多くみられる肩と肘の怪我についてご紹介いただき、その後どのように治療をしていくのか?
ま た、怪我をしないようにどのように予防をしていくのか?という点について分かりやすく説明していただきました。その中でも特に印象に残ったのが、肩と肘に 痛みが出るのは「結果」であって、そこに負担をかけている「原因」を見つけていかなければいけないという点でした。そのために西井先生は診察の中でも前屈 動作などで全身の動きの確認をしたり、下半身の柔軟性や筋力もチェックされているとのことでした。怪我をしているところだけを診るのではなく、選手一人一 人の特徴的な状態から怪我につながる原因を見つけていかれる診察の様子を伺い、まさにプロフェッショナルな仕事であることを認識しました。
また、西井先生は原因を見つけたら終わりではなく、なぜ怪我をしてしまうのか?なぜ痛みが出るのか?という点を選手(患者)自身に気づいてもらい、それを変えていくための方法を的確に伝えられていました。
第二部『達成と育成を創り出す~最強組織の作り方~』
北海道日本ハムファイターズ一軍内野守備走塁コーチ兼作戦担当 白井 一幸氏
2部の「達成と育成を創りだす 最強チーム作り方」は、2014年 より北海道日本ハムファイターズ 一 軍内野守備走塁コーチ兼作戦担当を任されている日本ハムファイターズの白井コーチの講演でした。
ど うしたら「やる気を持って頑張ることができる人を育てられるだろう。」指導者の方々の共通の課題を指導者目線ではなく「指導を受ける側の心理」「チーム全 体がビジョンをもつことの大切さ」を中心に命令や指示、恫喝では選手は 成果を出せない、ミスをしたときこそ最高の励ましがモチベーション向上につながるとお話くださりました。また、選手や部下が「自ら考えて行動するようにす る」ために指導者としてどのような関わり方をしていくと効果 的なのかその指導方法など、参加者を巻き込んだ巧みなトークで、場内が笑いに包まれる場面も多く楽しく学べる時間でした。