【テーマ】研究と臨床の融合:運動器疾患における疼痛の捉え方
【日 時】平成27年11月21日
【講 師】森岡
周先生(畿央大学) 平川 善之先生(福岡リハビリテーション病院)
【参加者】115名
【報告】
今回は運動器疾患における疼痛の捉え方について森岡先生と平川先生に講義を行っていただきました.サブタイトルにもあるように,「科学的思考の用い方と臨床意思決定のプロセス」について,森岡先生には科学的見地から,平川先生にはその臨床応用について講義を行っていただきました.
森岡先生には疼痛を捉える上での最新の知見や情報をご提示いただきました.運動器疾患における疼痛の捉え方であるため,運動器に対する知識はもちろんのこと,それを前提に情動的側面や認知的側面など痛みを多面的に捉える必要性について説いていただきました.
痛みはなぜ主観的であるのか?痛みの性質の時間的変化,慢性痛と脳機能の問題,慢性痛に対する神経科学的な治療モデルの世界的潮流,報酬系,痛みの制御,社会的な痛み,痛みの意義,身体イメージの変容,中枢神経系における情報の整合性...などなど,痛みを捉える上での多くのヒントをいただきました.
午前中に得られた情報をどのように臨床に応用していくのか?この視点がとても重要になります.午後はその点について平川先生に講義を行っていただきました.実際の症例や臨床での取り組みをもとに多角的な視点をご提示いただきました.セラピストの主観だけでなく,患者目線に立つことの必要性を改めて感じることができました.
お二人の講師の講義のあとは臨床での取り組みについて2名の先生に発表を行っていただきました.野崎先生(福岡志恩病院)には肩関節腱板術後の取り組みについて,岩坂先生(副島整形外科病院)には疼痛で難渋した症例について発表していただきました.症例をベースに検討していくと,その捉え方の多面性について気付かされます.多くの視点があり,その振り幅が狭くならないように,症例自身が求めていることに応えていく,その視点を忘れないよう取り組んでいきたいと個人的には感じる時間となりました.