【テーマ】最先端のスポーツ医学〜自律神経へのアプローチ〜
【日 時】平成27年6月18日
【講 師】末武 信宏 先生(さかえクリニック 院長)
【参加者】50名
【報 告】
この度,愛知県名古屋市のさかえクリニックより末武先生をお招きして特別セミナーを行っていただきました.当日は理学療法士や柔道整復師,鍼灸師,アスレティックトレーナーの学生など,スポーツ現場に携わる方々にご参加いただきました.
末武先生は医師でありながら,スポーツトレーナーとしても活躍されている先生で,多くのトップアスリートに支持されている方です.
スポーツ業界に限ったことではありませんが,対選手,対患者の関係においてはその個人(治療者,トレーナー等)の主観に依る理論や実践を行っているのが現状だと思います.それ自体はとても重要なことである一方,今後はスポーツトレーナーも客観的な指標を基に現場に携わっていくことが必要であることを末武先生から熱くご講義いただきました.
アート(感性)な部分を大切にしながらもそれをサイエンス(科学)に落とし込む.
それを体現するために末武先生が関与して設立されたのが,「一般社団法人 先端医科学スポーツアカデミー(Advanced Medical Sports Academy:AMSA)」です.
2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決定しましたが,各競技や選手を取り巻く環境は必ずしも充実しているとは言い難い状況です.そのような中で,選手や指導者を育成する場,それも単に個人の主観によるトレーニング法やケア法ではなく,種目の枠を超えてアスリートやコーチ・トレーナーが「医学的根拠」に基づいたトレーニング法などを教育・指導できる環境を整えるために設立されたのがAMSAです.
その医学的根拠を示していくための指標の一つとして末武先生が着目されているのが「自律神経機能」です.高いレベルでパフォーマンスを発揮するトップアスリートは,自律神経機能も高いレベルにあるということでした.逆に,練習ではハイパフォーマンスを発揮できるものの,本番になると思ったようにパフォーマンスを発揮できないといった類の選手においては自律神経機能が低い,もしくは交感神経と副交感神経のバランスが破綻しているということを教えて頂きました.この自律神経機能の低さは競技のパフォーマンスだけでなく,様々な疾患を予測する指標としても用いる可能性が感じられました.
耳たぶにセンサーを付けて5分間計測を行うだけで,その時の自律神経の状態をチェックすることができます.HRV(心拍変動解析)から自律神経の状態を導き出します.
九州医療スポーツ専門学校でもその機器を導入しましたので,今後スポーツに限らず様々な場面で用いて客観的な指標を確立していきたいと思います.
自律神経測定システムの詳細については下記をご参照ください.
http://www.atlantic.jp/lp-ibs/
座学での講義を終えた後は,実践の一部をご紹介いただきました.
わずかな力で相手を動かしたり,自分よりも大きい相手を圧倒したり...
身体のメカニズムを知っているだけで,驚くような結果が出ることを実践を通して教えていただきました.
摩訶不思議な現象を目の前で見せつけられ,参加者の頭の中は???
この詳細については,ぜひ「実践編」の講義を行って頂きたいと思っていますので,その際にはまた皆さんにもアナウンスさせていただきたいと思います.
1時間という短い時間ではありましたが,「最先端のスポーツ医学」というテーマにふさわしい濃い内容をご紹介いただきました.日々,当たり前のように実践していることが当たり前ではないこと,感覚に依存していることを形に落とし込んでいくことの重要性,医師である末武先生だからこそ響くメッセージがたくさんありました.
最後に...「私はカリスマではありません」
講義の最後に末武先生が仰られた言葉です.
十分にカリスマ性を備えた先生であることは短い時間を通して感じました.なんでそんなことを言われるのかとその時は思ったのですが,末武先生のような考え方,実践力を持ったトレーナーがこの世の中に増えることのほうが「スポーツ業界」にとっては大きな意味があることを後々になって感じました.後進育成への想いを持ち,尽力されている末武先生の背中から色んなことを感じ,考える貴重な時間となりました.
また,実技編という形で末武先生のテクニカルな部分をご紹介いただけるようなセミナー等も企画していきたいと考えております.その際には,また多くの方々にご参加頂けましたら幸いです.以下,講義中に先生がご紹介された関連する団体のHPを掲載しておりますので,ぜひご覧いただけたらと思います.
【関連HP】
さかえクリニック HP http://www.sakae-clinic.com/
一般社団法人 先端医科学スポーツアカデミー(AMSA)」 HP http://amsa.jp/
トップアスリート株式会社 HP http://www.topathlete.co.jp/
(文責:田中 創)