【テーマ】センスアップセミナー ブラッシュアップコース ②
【日 時】平成27年3月28日〜29日
【講 師】山口 光國 先生 (有)セラ・ラボ 代表 理学療法士 健康心理学修士
【参加者】32名
【報 告】
年間シリーズで行なっている「センスアップセミナーブラッシュアップコース」の第2回目が開催されました.
前回出された宿題をグループワークや全体での発表を通してアウトプットするところから今回は始まりました.
「10年後に自分はどうなっていたいのか?」
その想いを実現していくためには「事実」と「考え(解釈)」を分けることが大事であることを講義の中では伝えて頂きました.これは臨床でも同じですよね.
その情報は事実なのか,解釈(思い込み)なのか...
早めに問題点を抽出して,それを是正する.
「色んな立場に立ってみる」
「患者」の立場に立って...「他職種」の立場になって...「関節」の立場に立って...
「事実」に基づいて,その「立場」に立ってみる
その「結果」を「事実」に基づいて,どのように「判断」するか?が解釈の別れ道となります.
望まれる理学療法士とは?
「どのような,身体状態であっても対応可能」
つまり
「あらゆる他職種と連携,チーム対応が可能」
相手が望むことだけを行なうのがセラピーではない.
そして,セラピーとは一方的にこちらが提供するものではなく,相手と「共有」するもの
そのように考えると,自分一人ではなく,
あらゆる職種と連携(チームを組む)しながら,
対象者との共有を深めることがとても大切になります.
支えているつもりが支えられていることもある...
セラピーをしているつもりがセラピーされていることもある...
物事はどこから見るかによって見える景色は全く変わってきます.
結果が出ていると思えば喜ぶ.でも,それが自己満足だと感じた瞬間に結果が違った形で見えてくる.
自分の心の在り方や物事の捉えかたによって,同じ事象でも見え方は全く変わる.
2日目の朝はこんな講義からスタートしました.
そして,その後は実践を通しての考え方を学びます.
徹底的に矛盾を探す.
陽性尤度比,陰性尤度比を用いてその事象を捉える
テストが陽性である時の肯定できる確率,テストが陰性である時の否定できる確率.
70歳代 女性
左前足部の痛みの後に,同側の膝の痛みが2週間後に併発
足趾の痛みは第2趾と第3趾の間で,坂道と階段の下りで生じる.昇りでは痛みはなし.
一度痛くなるとずっと痛くなる.
関節を動かした際の痛みはない.
また,家の中で動いている時にはさほど痛みはない(外出の機会減少).
否定できる要素はまずないだろうか?
・内臓性の疼痛は考えにくい(痛風など含めて)
・炎症による痛みも考えにくい
・神経性,心因性の疼痛も所見からは考えにくい
得られた情報の辻褄はどうか?
否定できる要素は排除し,否定できない要素は残さなければいけない.
肯定できそうな因子に対しては確認を行なわなければいけない.
対象者が発している言葉と様々な現象とのつながりを見出す.
大雑把にみる部分と細かくみる部分.
つまり,得られた情報に対してはすべてに「意味付け」が必要になるということでした.
しかも,それは自己の解釈ではなく,事実(患者の情報)に基づいた判断であること.
2日目の午後は更に「可動域制限」に着目して,その因子の列挙や事実に基づいた確認を行なう作業を行いました.
肩関節の下垂位での外旋を制限する因子として何が考えられるか?
考えうる要素を全て列挙していきます.
普段,病態(疾患)から考える癖が付いているために,現象(症状)からその因子を列挙しようとすると,なかなかグループワークが思うように進みません.
知識で解決しよう(自分の土俵だけで考えよう)とすると,その考えが止まった時に次の一手が出てきません.普段から現実に起こりうるあらゆる可能性に着目しておくことが重要であることを教えて頂きました.
今回のkey wordは「見えない技術」
またまた色々と考えさせられる時間となりました.
次回は実技を中心に行なっていただく予定です!!
(文責:田中 創)