【テーマ】地域包括ケアシステムの中でのリハビリテーション職種の役割 Part Ⅴ
「介護予防について」
【日 時】平成27年3月16日(月)
【講 師】 竹下 真大先生(PT) 籾井 剛士先生(OT) 藤川 仁先生(ST)
【参加者】30名
【報 告】
平成27年度から平成29年度の介護予防事業において,地域におけるリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取り組みの充実とあり,「地域に視点をおいたセラピストの活躍」が大きく期待されています.
平成27年度介護保険制度改正に伴い,高齢者に対する介護予防支援事業にどのような変化があるのでしょうか.予防給付の見直しについて介護予防給付の地域支援事業のへの移行案が出され,要支援者は各市町村にて必要な事業を実施することとなります.各市町村に課せられた,地域性を生かした支援事業にセラピストとしてどのように参画していけるのか,そして何を知見として準備しておかなければならないのかについて講義していただきました.
そして,本日もロールプレイを通してセラピストの役割をリアルに感じるように講義は進みます.
行政職員からのリハビリテーション専門職へ、介護予防における運動への取り組みに提案を求められた課題において,対象者(高齢者等)のニーズを分析しどのような提案ができるのか.
運動する目的に興味の浅い対象者に対して,その目的や意義をどのように伝えるのか.セラピストとしての見解を持ちながらも,専門用語の使用を抑制し,介護予防や運動に対して興味を深められるような動機付けを行うために,どのような工夫をするべきなのか.
グループにて以下の配役を設定し,ロールプレイに取り組みます.
*運動に興味の浅い対象者(市民:高齢者)役
*セラピスト役
*観察者役
集中力の長く続かない対象者(市民:高齢者)へより短時間で動機付けをするための工夫を含めてグループで話し合いをしました.
工夫のひとつとして重要なのは「導入」であるとのこと.
更にポイントとして...
*専門用語を使用していないか
*参加した高齢者が不快に感じる態度ではないか、言葉遣いは適切か
*参加者を飽きさせない工夫ができるか
*参加者の動機付けを高められたか
そして,実演を通して見解の共有を行い,得られた経験値は「介護予防」においてセラピストに求められるものを具現化することにつながりました.
次のロールプレイは,セラピストの特性を理解していない行政職員に,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が介護予防支援事業において,行政のニーズを理解した上で「何ができる」のかをどのように説明するかについてです.
セラピスト,行政職員,観察者という配役のもとに検討しました。
具体的にセラピストの強みは個別対応とアセスメントであり,定期的で継続した関わりをもつことであることが重要とのこと.地域課題の発見と対応の提案をセラピストの特性を活かし,身体機能やADLの改善のみにとらわれるのではなく,地域住民の生活機能向上や地域づくりの視点も持って説明を行うことが重要だということでした.
全5回に渡った「地域包括ケアシステムの中でのリハビリテーション職種の役割」についてのセミナーは今回で終了となりました.セミナーを通し,これから迎える2025年に向けて,地域住民にリハビリテーションマインドを伝え,健康で活力のある地域づくりにリハビリテーション職種はどのように貢献するべきなのかを,地域包括ケアシステムの理解のもと考察することができました.
この度お忙しい中,全5回に渡るセミナーにて講義してくださいました講師の皆様に感謝申し上げます.
最後は懇親会で親睦を深めて,今回学んだことをそれぞれのフィールドに持ち帰って実践していくことを約束してすべての日程が終了致しました.
(文責:田中 創)